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エムガルティ治療を始めた

7月初旬からエムガルティを試し始めたので、その効果についてまとめてみたい。なお当ブログは専門家による監修は受けていないので、詳しいことはかかりつけの医師に確認していただきたい。

背景

片頭痛がどんな病気でどのように対処するかということは、以前の記事で書いた。

前回は主に「頭痛になった際に痛みを抑える緩和治療薬」について述べた。今回は「頭痛にならないようにする予防治療薬」の話である。

片頭痛の痛みを抑える薬のほかに、そもそも片頭痛が起こらないように根治する薬というのがあるのだろうか。一応そういう薬はあって、自分はこれまで10年ほどの間処方を受けてきていた。例えば最近飲んでいるのはこんな感じだ。

  • セレニカR錠 400mg
  • トリプタノール錠 10
  • トピラマート錠 100mg × 2

実はこれらの薬はもともとは抗てんかん薬だったり抗うつ薬なのだが、脳の過敏状態を抑えることから頭痛の回数を減らしたり痛みを弱める効果もあり、片頭痛治療のために低用量で処方される。このような「片頭痛予防に効く」と言われる薬は、有効と言われるもので5種類、ある程度有効と呼ばれるもので15種類ある(治療ガイドラインによる)。ちなみに個人的な体験では、残念ながら過去10年間の服用ではこれらの薬はあまり効果がなく、頭痛の頻度に大きな変化はみられなかった。まあ、身動きが取れなくて寝込んでしまうほどの大頭痛は減ったが、月当たりの頭痛頻度はそれほど減ってないなあという感じである。ケイタイアプリでログを取り始めた2015年1月から今年6月までの記録をグラフ化してみた結果をご覧いただこう。

赤い線は6か月の移動平均だ。2020年末にちょっと良くなったように見えるが、その後また戻ってしまったような感じだ。平均して月に4回以上、週に1回は頭痛に見舞われていることが分かっていただけると思う。この傾向はだいたい10年間変わっていなかった。

エムガルティ

クリニックの先生にエムガルティの紹介をいただいたのは5月のことだった。最近話題になっている、片頭痛予防の新薬があるということだった。注射薬で、効き目はかくかくしかじか、機序はこのようになっていると詳しく説明してくれた(先生は自分の職業をよく理解してくれているので、ちょっとぐらい難しい説明も遠慮なくしてくれるよい人なのだ)。大きなメリットは、4週間に1度の注射だけでよく、毎日の薬が不要になるということ。一方問題は、1本あたりの価格が高いことだった。なので効かなかったらごめんなさいという話だった。

自分としては、効き目については確率的にどのグループに入るかは自分の方の責任だから先生を恨むことはない、それよりその機序で、どうして治療薬になるのかがよく分からないと質問をした。エムガルティはCGRPレセプターをブロックし痛みを感じなくするというのが基本的な機序になる。確かに痛みは感じなくなるが、痛みの発生源を無くしているようではない。それで問題は解決しているのだろうか?

先生はごく簡単に、痛みをブロックし続けると痛みの発生そのものが消えていく、という説明をしてくれた。これ以上の説明はたぶん講義になってしまうので聞かなかったが、まあ本気で興味があるなら別途調べてみるとよいかもしれない。

いずれにしても4週間に1回の注射で、毎日飲まされていた薬の代わり(しかも全然効き目が感じられない)になるなら、試してみるのもいいなと思えた。自分の片頭痛の診断と治療歴なら問題なくエムガルティを処方できるというので、まずパンフレットをもらって1か月考えて、次の受診の時に予約を取って、2か月後の7月に初回の注射を受けた。

エムガルティを始めてみて

エムガルティ治療は、最初に2本打つ(高価なのにそれが倍になるので大変な出費だ)。その後は4週間ごとに1本、まずは3か月様子を見て、効果が表れるようなら継続していくことになる。従来の内服薬は徐々に減薬していく。自分の場合、まだ減薬は始まっていない。

エムガルティの効果だが、7月第1週から治療を始めた結果、7月の頭痛回数は1、8月も1という結果になった。個人的な感想としては、頭痛の回数は明らかに減ったと言える。ほかの特徴として、頭痛の兆候が始まったとき、これまでは不可逆的に頭痛へ一直線だったのが、安静にしたり血糖値を上げたりすることで頭痛を回避できるようになった。これは大変な改善で、マクサルトを飲むしかなかった従来に比べて負担が非常に軽くなった。

というわけで3回目の接種が終わったところなのだが、今のところ良好なので続けていきましょうと先生とは相談しているところである。

エムガルティの処方を受けるときの注意

エムガルティは最近話題になっているので、すぐに処方を受けたいと思っている人も多いかもしれない。だが現時点(2021年夏)では片頭痛に関する一定期間の治療歴がないと処方が受けられない、と自分の主治医はおっしゃっていた。一見の病院に飛び込んで「頭が痛いのでエムガルティを打ってください」と言っても決して処方されない。もし片頭痛で悩んでいるのに、まだ医師と相談を始めていないというのなら、まずはとにかく診断を受けることを強くお勧めしたい。

それから価格もとんでもなく高い。1年間続けると約18万円になる。まあ片頭痛と縁が切れると思うならこれぐらい払ってもいいと思えるほどなのだけれど。とにかくよく考えて選択していただきたい。

参考リンク