自宅NASをSMARTで監視する

最近在宅ワークにシフトした結果、オフィスで提供されてきた共有ファイルサーバが利用できなくなり、自分でファイルストレージを何とかしなければならないという相談を受けるケースが増えてきた。これに対する答えはいろいろあって、クラウドサービスを使って外部に置くなんていうのもアリだが、自分は5年ほど自宅でNASを運用しているのでこれをオススメしている。ただNASの運用はそれなりに面倒だ。特にディスクドライブを複数搭載し、RAID構成にしている場合の監視はいろいろテクニックを要する。

本稿ではSMARTによるディスクドライブ監視を中心に、NASの運用手法について説明する。

NASの選択と運用ポリシーの決定

最初にお断りしておくが、本稿ではバックアップについては何も説明しない。絶対に失いたくない大切なデータをどうしたらよいかは、ぜひ自分で考えていただきたい。本稿で示すNASのRAID運用と監視は「壊れやすいディスクドライブを相手に、できるだけ素早く復旧を目指す方法」を説明するものであって、データをロストする可能性はゼロではない。自分はバックアップを別の方法で取っているが、本稿の趣旨と外れるので説明しない。

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IPアドレスとプライバシー

あるIPアドレスを入手したとして、この情報だけで利用者を特定することはできるだろうか。技術的には無理である。IPアドレスから利用者を特定するためには、実際には様々な情報を組み合わせ、方々に問い合わせをしていかなければならない。

まずIPアドレスがどのようなものかを整理しよう。アクセス元のユーザが、スマホのような端末でアクセス先のサービス(たとえばSNSのサービスを提供しているサーバ)にアクセスするということは、下図のような状況を意味している。インターネットを利用するということは、インターネットの回線を介してデータをやり取りするということであり、アクセス元にデータを届けるためにはIPアドレスを頼りにする。したがってアクセス先のサーバはIPアドレスを記録し、正しく返信しなければならない。少なくとも通信を行っている間は、IPアドレスを保持していなければならない。

インターネットアクセスとIPアドレス

アクセス元のIPアドレスを決定しているのは誰だろうか。それはアクセス元にインターネットアクセスサービスを提供しているアクセスプロバイダ、ISPだ。現代ではほとんどの場合、電話会社である。もちろん例外は多数あるが話が長くなってしまうので、電話会社の例で説明を続ける。

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あなたの本当の名前はなんていうの?

人の噂は面白いもので、本人にとっては途方もない話がまことしやかに流ることがある。自分にとって最も困ったネタが「ワシキタは英語がペラペラ」という話だ。というのは自分は、高校を英語で留年しそうになったぐらいだし、大学でも4年次まで英語の単位は取り切れなかった。自分から見れば、周りのみんなこそ「英語が得意」なはずなので、そんなウワサが流れるのは迷惑この上なかった。

だがなぜ英語がうまいという噂が立つのか、理由は分かっていた。自分が臆せず外国人と話をするからだ。多くの人は英語にアレルギーがあって、コンニチハーぐらいの簡単なことすら口を開こうとしない。自分といえば、コミュ障を逆手にとって「通じなくても適当にしゃべり続ける」という技を使って話すのが好きなので、英語しか使えない環境でも英会話でペラペラしゃべっているように見せかけるのが上手い。この癖はかなり危険で、文意を正反対の意味にとらえて完璧に誤解するということが頻繁に発生するデメリットがある。つまり相手はyesと言っているのにnoだと勘違いしたりとか、質問されているのに気づかずに無視するとか聞かれていないことを答えるなどということが頻繁に発生するのだ。これはビジネスでは非常にマズい。

それなのに15年ほど前、仕事でボストンのオンラインゲーム開発会社 — Turbineと付き合うことになってしまった。

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CuratorでElasticsearchをメンテする

以前の記事で、トラフィックキャプチャ・ソフトウェアのMolochを紹介した。導入から1か月半が過ぎてまずまず問題なく動いていたのだが、あるパーティションが90%を超えたぞと警告が出たので調べてみたら、Elasticsearchのデータディレクトリが肥大化して溢れていた。よく考えてみたら何の手立ても打っていないので、データが溜まれば溢れるに決まっている。そこでどうやって古いデータを消せばいいのか、慌てて調べた。その結果あんまりきれいにまとまったページがないようなので、個人的なメモを兼ねてブログ化しておく。

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ノートとタッチタイプ

よいエンジニアは日記を書くものだ、とワインバーグ先生は言っていた。自分はあまり実践できていないが、できるだけ文字の記録を残すようにしている。肝心なのは記録を残すことで、どのような媒体かは問題ではない。現代ならば電子的に残すのがジョーシキかもしれないが、ペンを使ってノートに書くという手段もある。

そう、自分は普段、業務記録にボールペンと紙のノートを使っている。ミーティングのメモや議事録は、特定の理由がない限り、最初にペンとノートで記録する。会議室で、みんながノートPCを開いているのに、ペンとノートなのは自分だけということはよくある。むろんPCとキーボードで電子的に記録を取る方が速くてきれいで疲れない、というメリットはある。だが、議事進行を頭に入れ、理解し解釈し記録を取り、かつ自分の意見や質問事項をメモしていこうと思うと、ペンとノートに敵う手段がまだ見つからないという状況なのだ。

この習慣はだいたい30年ぐらい続いている。最近の出社禁止令で全部のノートを集められなかったのだが、なんとか倉庫からさらいだした過去10年分のノートがこれだ。

2010年から最近までのノート

10年前はコンビニで買ったいい加減なリングノートを使っていたのだが、コクヨのノートに切り替えて、現在に至る。

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