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タグアーカイブ: 哲学

ノートとタッチタイプ

よいエンジニアは日記を書くものだ、とワインバーグ先生は言っていた。自分はあまり実践できていないが、できるだけ文字の記録を残すようにしている。肝心なのは記録を残すことで、どのような媒体かは問題ではない。現代ならば電子的に残すのがジョーシキかもしれないが、ペンを使ってノートに書くという手段もある。

そう、自分は普段、業務記録にボールペンと紙のノートを使っている。ミーティングのメモや議事録は、特定の理由がない限り、最初にペンとノートで記録する。会議室で、みんながノートPCを開いているのに、ペンとノートなのは自分だけということはよくある。むろんPCとキーボードで電子的に記録を取る方が速くてきれいで疲れない、というメリットはある。だが、議事進行を頭に入れ、理解し解釈し記録を取り、かつ自分の意見や質問事項をメモしていこうと思うと、ペンとノートに敵う手段がまだ見つからないという状況なのだ。

この習慣はだいたい30年ぐらい続いている。最近の出社禁止令で全部のノートを集められなかったのだが、なんとか倉庫からさらいだした過去10年分のノートがこれだ。

2010年から最近までのノート

10年前はコンビニで買ったいい加減なリングノートを使っていたのだが、コクヨのノートに切り替えて、現在に至る。

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誰がゴミ穴を掘るか — チームとリーダーシップ

35年前、自分はボーイスカウトだった。いきなり脱線だがボーイスカウトというのは死ぬまでスカウトという誓いがあるので、「だった」というのは実は間違いということになる。だが、現在自分はスカウト活動は何もしていないので「だった」ということにさせていただく。ボーイスカウトというのは小学校6年生から中学生までの4学年に渡っていろいろな少年たちが集まっていろいろな活動をする団体だ。最近はどうだか知らないが、ボーイスカウトは軍隊的な組織をモデルに作られている。つまりカーキ色の制服を着て、6、7人ぐらいの班に分けられ、班長と次長が任命される。班長が班のリーダーだ。班が4から8ほど集まって隊が形作られる。自分はベビーブーマーなので、それはそれはたくさんの隊があった。昔はボーイスカウトは人気があったのだ。班長を束ねるのは隊長ということになるが、これは大人がやる。隊長以外にも多くのボランティアや保護者のサポートがある。指導者にはボーイスカウト連盟の研修を必要とする役職もあったりして、それはそれで結構大変だが、まあそれはおいとこう。本稿で紹介したいのはボーイスカウトの班の話だ。

1962年当時の親父の職場(本文とは関係ありません)
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やりたいこととやるべきことの峻別

まつもとりーさんがこんなブログを書いた。

この中で、研究所での取り組みをもっと紹介していこう、という話がでてくる。となれば自分も書かねば、ということで「やりたいこと」の話を取り上げてみたい。

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「学生時代にしか出来ないことをしてね」とは、本当は言いたくない

企業にいて面接官をやっていると、学生に対してこれに近いことを言う機会が結構ある。あるのだが、慌てて弁明させていただくと、当の学生から質問を受けるので仕方なく答えているのだ。その質問というのがこうだ。

「就職までにどんなことを勉強したらいいですか? あるいはどんなことをやっておくべきでしょうか?」

これに対して、自分はこんな風に答えるようにしている。

「就職すると、イヤでも会社の命令に従うことになるので、就職する前にそんなことを聞くのはやめた方がいいですよ。そんなことより、今やれることをやっといた方がいいです。ちゃんと勉強して、卒業してください」

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このような質問は以前から頻繁に受けていて、社内ではFAQになりつつある。とうとう、答えの方まで紋切り型になってきてしまい、「学生時代にしか出来ないことを」「今しか自由時間はない」「悔いが残らないように」みたいな答えを付け加えてくる面接官が現れるようになっている。自分は聞かれない限り答えない主義なので先回りはしないが、周囲の人は時々先に言ってしまうようになっている。今時の学生がこういうことを言われる機会が多いのは、これが理由だと思う。

だが、やっぱりこういうことは言うべきでないと、自分は強く思う。どう聞いてもお節介か、お説教にしか聞こえないからだ。

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原典主義者が語るUNIX哲学的面倒臭さ

CentOS8で初めてlsのクォート機能を見たとき、真っ先に思い出したのが「UNIX原典」という本に載っていた「UNIX環境におけるプログラム設計」という論文だった。これは1984年に出た本で、学生の頃にプログラミングの師匠に貰ったものだったが、特にお気に入りが前述の論文だ。で、これをもう一度読もうと思ったら、オフィスのどこかに紛失してしまって見つからない。仕方がないのでもう一冊買ってしまった。

UNIX原典

ところで該当の論文は、原著がPDFで公開されているので、もしその気があるならこちらで読める。

今回はこの論文の内容を紹介したい。

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